2011年3月11日の東日本大震災によって発生した災害廃棄物は, 地方公共団体が管理する土地を仮置き場として野積みにされた。2011年6月, 隣接する空き地に災害廃棄物が積み上げられた宮城県石巻市の高等学校を訪問し, 瓦礫から発生したと考えられるハエ類や浮遊微生物の調査を実施した。校舎内で捕獲したハエ類30個体のうち, 17個体は屋内侵入性のイエバエ類Muscoideaであった。また, ハエ類の体表面から病菌細菌の分離を試みたところ, 大腸菌Escherichia coliが30個体中15個体(50%)から, 緑膿菌Pseudomonas aeruginosaが5個体(17%)から, サルモネラSalmonella entericaが13個体(43%)から分離された。屋内の浮遊細菌および浮遊真菌濃度は日本建築学会の規準値以下であったが, 屋外の浮遊真菌濃度は災害廃棄物の瓦礫に近いほど高くなる傾向にあった。また, 吸入性アレルゲンとして重要な真菌であるAlternaria属およびEurotium属の屋外濃度が国内の一般環境と比較し, 高濃度であることが明らかになった。